脳低温療法を施行した蘇生後脳症の1乳児例

近年,小児および新生児領域でも,重症頭部外傷や低酸素性脳症に対する脳低温療法が注目されてきた。今回,院外で心肺停止をきたした日齢57の蘇生後脳症の乳児に対し,脳低温療法を施行した。食道温34℃を72時間維持し,その後1℃·day−1の速度で復温した。来院時には対光反射陰性,脳波平坦,自発呼吸消失と重篤であったが,第2病日には対光反射が出現,第8病日には脳波も正常化した。第14病日に人工呼吸器から離脱し,第16病日に小児集中治療室を退室,第43病日に退院となった。その後9ヶ月時には,一人で座位がとれるようになった。小児を対象とした脳低温療法の適応や方法については検討すべき課題も多いが,本症例では...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 17; no. 1; pp. 49 - 53
Main Authors 橘, 一也, 木内, 恵子, 竹内, 宗之, 林, 振作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 01.01.2010
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.17.49

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Summary:近年,小児および新生児領域でも,重症頭部外傷や低酸素性脳症に対する脳低温療法が注目されてきた。今回,院外で心肺停止をきたした日齢57の蘇生後脳症の乳児に対し,脳低温療法を施行した。食道温34℃を72時間維持し,その後1℃·day−1の速度で復温した。来院時には対光反射陰性,脳波平坦,自発呼吸消失と重篤であったが,第2病日には対光反射が出現,第8病日には脳波も正常化した。第14病日に人工呼吸器から離脱し,第16病日に小児集中治療室を退室,第43病日に退院となった。その後9ヶ月時には,一人で座位がとれるようになった。小児を対象とした脳低温療法の適応や方法については検討すべき課題も多いが,本症例では脳低温療法が神経学的予後の悪化防止に有効であった可能性がある。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.17.49