幽門側胃切除後挙上空腸への柿胃石嵌頓が原因となったイレウスの1例

残胃胃石によるイレウスは比較的稀な疾患とされており,手術加療が必要となる場合も多い.今回われわれは胃癌術後の挙上空腸内に胃石が嵌頓しイレウスを発症した1例を経験したので報告する.症例は67歳の男性.63歳時に早期胃癌に対して幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建を施行された既往がある.2012年11月に排便停止と嘔吐を主訴に当院を受診し,術後,イレウスの診断で入院となった.腹部CT,消化管造影検査で挙上空腸の通過障害を認め,イレウス症状の改善がみられないため手術加療を行った.胃空腸吻合部の肛門側に10cm大の結石を触知し,これによる通過障害と診断した.空腸を切開して結石を摘出した.結石成分は9...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 11; pp. 3034 - 3038
Main Authors 西口, 由希子, 青松, 幸雄, 平尾, 具子, 中尾, 武, 杉原, 誠一, 今川, 敦史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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Summary:残胃胃石によるイレウスは比較的稀な疾患とされており,手術加療が必要となる場合も多い.今回われわれは胃癌術後の挙上空腸内に胃石が嵌頓しイレウスを発症した1例を経験したので報告する.症例は67歳の男性.63歳時に早期胃癌に対して幽門側胃切除術,Roux-en-Y再建を施行された既往がある.2012年11月に排便停止と嘔吐を主訴に当院を受診し,術後,イレウスの診断で入院となった.腹部CT,消化管造影検査で挙上空腸の通過障害を認め,イレウス症状の改善がみられないため手術加療を行った.胃空腸吻合部の肛門側に10cm大の結石を触知し,これによる通過障害と診断した.空腸を切開して結石を摘出した.結石成分は98%以上がタンニンであり,また,柿を常食していたことより柿胃石が挙上空腸に嵌頓したことによるイレウスと診断した.経過良好であり術後14日目に退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.3034