肝十二指腸間膜に発生したCastleman病の1例

患者は32歳, 男性. 数年前より検診でCRP高値を指摘されていた. 当院での血液検査においてもCRPが7.95mg/dl, γ-グロブリンが2,200mg/dlと高値を示した. 腹部CTでは肝十二指腸間膜に境界明瞭な3.7×3.4cmの腫瘤を認めた. MRIでは腫瘍はT1強調像で筋肉と同程度の信号域を呈し, 肝と同程度の造影効果を有した. EUSでは十二指腸管外性に発育する固有筋層由来の腫瘍が疑われた. 十二指腸GISTを疑い手術を施行した. 腫瘍は肝十二指腸間膜に存在し, 5.5×4.5×3.0cmで孤立性, 弾性軟であった. 迅速病理にて悪性リンパ腫が示唆され, 腫瘍切除のみを行った....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 68; no. 2; pp. 457 - 462
Main Authors 鈴木, 裕之, 諏訪, 敏一, 伊藤, 博, 石川, 文彦, 新田, 宙, 山下, 純男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2007
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.68.457

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Summary:患者は32歳, 男性. 数年前より検診でCRP高値を指摘されていた. 当院での血液検査においてもCRPが7.95mg/dl, γ-グロブリンが2,200mg/dlと高値を示した. 腹部CTでは肝十二指腸間膜に境界明瞭な3.7×3.4cmの腫瘤を認めた. MRIでは腫瘍はT1強調像で筋肉と同程度の信号域を呈し, 肝と同程度の造影効果を有した. EUSでは十二指腸管外性に発育する固有筋層由来の腫瘍が疑われた. 十二指腸GISTを疑い手術を施行した. 腫瘍は肝十二指腸間膜に存在し, 5.5×4.5×3.0cmで孤立性, 弾性軟であった. 迅速病理にて悪性リンパ腫が示唆され, 腫瘍切除のみを行った. 病理組織検査によりhyaline vascular型Castleman病と診断された. 現在術後1年3カ月が経過したが, 再発徴候は認めていない. 肝十二指腸間膜に発生したCastleman病は, 本邦初の報告であり貴重な症例と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.68.457