腸閉塞を呈した腸管外アニサキス症の1例

小腸アニサキス症による腸閉塞は比較的多く報告されているが,今回われわれは,異所性アニサキス症による腸閉塞という稀な症例を経験した.若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は52歳の男性.入院2週間前より発熱・下痢の症状があり,入院3日前より右下腹部痛を認め,当院を受診した.CTで小腸の拡張,空腸周囲の炎症所見とwhirl signを認め,腸閉塞の診断で経過観察入院とした.症状が改善しなかったため,第14病日に原因検索,治療目的に審査腹腔鏡を行った.術中所見では,Treitz靱帯から100cmの空腸腸間膜に壁外性の腫瘤を認め,大網,腹壁,腸間膜と癒着を形成していた.この癒着で形成された空間に,肛...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 11; pp. 2460 - 2464
Main Authors 鈴木, 佳透, 清水, 芳政, 捨田利, 外茂夫, 大橋, 真記, 立川, 伸雄, 古内, 孝幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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Summary:小腸アニサキス症による腸閉塞は比較的多く報告されているが,今回われわれは,異所性アニサキス症による腸閉塞という稀な症例を経験した.若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は52歳の男性.入院2週間前より発熱・下痢の症状があり,入院3日前より右下腹部痛を認め,当院を受診した.CTで小腸の拡張,空腸周囲の炎症所見とwhirl signを認め,腸閉塞の診断で経過観察入院とした.症状が改善しなかったため,第14病日に原因検索,治療目的に審査腹腔鏡を行った.術中所見では,Treitz靱帯から100cmの空腸腸間膜に壁外性の腫瘤を認め,大網,腹壁,腸間膜と癒着を形成していた.この癒着で形成された空間に,肛門側の小腸が陥入していた.手術は鏡視下で癒着を切離し小腸部分切除を施行した.病理結果では,腸管壁外の好酸球性の化膿性肉芽形成と,内部にアニサキス幼虫を認め,異所性アニサキス症と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2460