腹腔鏡下脾臓摘出を先行し術前化学療法を行った肝硬変併存膵頭部癌の1例

症例は73歳,女性.C型肝硬変で近医加療中に背部痛および膵頭部腫瘤性病変を認め,当院へ紹介となった.造影CTおよびMRIで膵頭部に漸増性に増強される径4cmほどの不整形腫瘤を認め,上腸間膜静脈浸潤が疑われた.膵頭部腫瘤はPETで高集積を呈し,膵液細胞診はclass IVで,cT3N0M0,cStage II Aの進行膵頭部癌であった.初診時肝機能はChild-Pugh Aであったが,血小板数6.5×104/μLと低値で,脾腫を認めた.腹腔鏡下脾臓摘出術を先行し,血小板数の速やかな上昇を確認後,術前化学療法としてGEM+S-1を2クール施行した.その後に根治切除として亜全胃温存膵頭十二指腸切除,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 10; pp. 2123 - 2127
Main Authors 田中, 智和, 北原, 賢二, 能城, 浩和, 井手, 貴雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.2123

Cover

More Information
Summary:症例は73歳,女性.C型肝硬変で近医加療中に背部痛および膵頭部腫瘤性病変を認め,当院へ紹介となった.造影CTおよびMRIで膵頭部に漸増性に増強される径4cmほどの不整形腫瘤を認め,上腸間膜静脈浸潤が疑われた.膵頭部腫瘤はPETで高集積を呈し,膵液細胞診はclass IVで,cT3N0M0,cStage II Aの進行膵頭部癌であった.初診時肝機能はChild-Pugh Aであったが,血小板数6.5×104/μLと低値で,脾腫を認めた.腹腔鏡下脾臓摘出術を先行し,血小板数の速やかな上昇を確認後,術前化学療法としてGEM+S-1を2クール施行した.その後に根治切除として亜全胃温存膵頭十二指腸切除,門脈合併切除再建術を施行した.術後経過は良好で,術後補助化学療法を6カ月間完遂した.脾機能亢進を伴う肝硬変合併膵癌において,脾臓摘出術は安全に周術期補助化学療法を遂行する有用な補助手段と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.2123