腹腔鏡下に切除した横行結腸癌併存結腸静脈瘤の1例

症例は84歳,女性.52歳時に血便を認め,下部消化管内視鏡検査で大腸静脈瘤を指摘された.以降,血便を繰り返し複数の病院で検査をされるも,治療は行わず経過していた.2014年に当院で施行した下部消化管内視鏡検査では,下部直腸から回腸末端までほぼ連続して蛇行する静脈瘤を認めた.2017年3月に再度血便を認め,内視鏡検査では明らかな出血源は指摘できなかったが横行結腸に20mm大の2型病変を認めた.その後も血便の再燃があり,静脈瘤を含めた外科的切除の方針となった.上腸間膜動脈造影では静脈相で回盲部から上行結腸付近の静脈に蛇行が目立ち,下腸間膜動脈造影では明らかな異常所見なく門脈の閉塞も認めなかった.術...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 11; pp. 2303 - 2308
Main Authors 福島, 登茂子, 竹内, 瑞葵, 松尾, 亮太, 大谷, 泰介, 中川, 真理, 野田, 大地
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.2303

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Summary:症例は84歳,女性.52歳時に血便を認め,下部消化管内視鏡検査で大腸静脈瘤を指摘された.以降,血便を繰り返し複数の病院で検査をされるも,治療は行わず経過していた.2014年に当院で施行した下部消化管内視鏡検査では,下部直腸から回腸末端までほぼ連続して蛇行する静脈瘤を認めた.2017年3月に再度血便を認め,内視鏡検査では明らかな出血源は指摘できなかったが横行結腸に20mm大の2型病変を認めた.その後も血便の再燃があり,静脈瘤を含めた外科的切除の方針となった.上腸間膜動脈造影では静脈相で回盲部から上行結腸付近の静脈に蛇行が目立ち,下腸間膜動脈造影では明らかな異常所見なく門脈の閉塞も認めなかった.術前内視鏡で予め結腸静脈瘤の範囲をマーキングし,腹腔鏡補助下拡大結腸右半切除術を施行した.術後は血便の再燃なく経過している.大腸静脈瘤は稀な疾患であり,手術により治療しえた1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2303