肝円索結紮による傍臍静脈シャント閉鎖術により猪瀬型肝性脳症の改善が得られた肝硬変の2症例

症例1は65歳,女性.原因不明の肝硬変で近医にて経過観察されていた.2007年8月見当識障害と羽ばたき振戦を認め受診した. 症例2は73歳,男性.2004年よりC型肝硬変で経過観察されていた.2007年7月から見当識障害が出現し,腹部US,CT,および腹部血管撮影検査にて肝S2,S6,S8に各々径2cm,1cm,1cmの肝細胞癌(以下,HCC)が診断された.S8のHCCは経皮的ラジオ波焼灼(以下,RFA)療法を施行した.両症例ともに傍臍静脈シャントと門脈血流の低下を認めた.門脈大循環シャントのため血中アンモニア値が上昇したことによる肝性脳症と診断した.症例1は2007年9月開腹下傍臍静脈シャン...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 877 - 882
Main Authors 久保, 秀文, 兼清, 信介, 北原, 正博, 多田, 耕輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.877

Cover

More Information
Summary:症例1は65歳,女性.原因不明の肝硬変で近医にて経過観察されていた.2007年8月見当識障害と羽ばたき振戦を認め受診した. 症例2は73歳,男性.2004年よりC型肝硬変で経過観察されていた.2007年7月から見当識障害が出現し,腹部US,CT,および腹部血管撮影検査にて肝S2,S6,S8に各々径2cm,1cm,1cmの肝細胞癌(以下,HCC)が診断された.S8のHCCは経皮的ラジオ波焼灼(以下,RFA)療法を施行した.両症例ともに傍臍静脈シャントと門脈血流の低下を認めた.門脈大循環シャントのため血中アンモニア値が上昇したことによる肝性脳症と診断した.症例1は2007年9月開腹下傍臍静脈シャント閉鎖術を施行し,症例2は同年,10月開腹下にS2,S6のHCCへのRFA療法と傍臍静脈シャント閉鎖術を施行した.両症例ともに術後,血中アンモニア値は正常化し,肝性脳症の改善を認めた.画像検査で傍臍静脈シャント消失を確認した.現在まで肝性脳症の再発なく食道静脈瘤や腹水の出現もない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.877