鈍的頭頸部血管損傷に対する3DCTAによるスクリーニングの有用性と問題点
背景と目的:頭頸部血管損傷は時に重篤な合併症を引き起こすため,早期発見の重要性が認識されつつある。画像解析ソフトの進歩により,3DCT Angiography(CTA)の診断能は著しく向上したが,頭頸部血管損傷のスクリーニング検査としての精度については十分検討されていない。本研究の目的は,CTAの有用性と問題点を検討することである。対象と方法:対象は2001年から2007年までに入院となった鈍的頭頸部外傷のうち,CTAを施行した233例。スクリーニング基準は,重症頭部外傷(SHI),頭蓋底骨折(BFX),顔面骨骨折(FFX),頸椎/頸髄損傷/頸部軟部組織損傷(CI),CTで説明できない神経学的...
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Published in | 日本救急医学会雑誌 Vol. 20; no. 2; pp. 84 - 92 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本救急医学会
2009
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Subjects | |
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ISSN | 0915-924X 1883-3772 |
DOI | 10.3893/jjaam.20.84 |
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Summary: | 背景と目的:頭頸部血管損傷は時に重篤な合併症を引き起こすため,早期発見の重要性が認識されつつある。画像解析ソフトの進歩により,3DCT Angiography(CTA)の診断能は著しく向上したが,頭頸部血管損傷のスクリーニング検査としての精度については十分検討されていない。本研究の目的は,CTAの有用性と問題点を検討することである。対象と方法:対象は2001年から2007年までに入院となった鈍的頭頸部外傷のうち,CTAを施行した233例。スクリーニング基準は,重症頭部外傷(SHI),頭蓋底骨折(BFX),顔面骨骨折(FFX),頸椎/頸髄損傷/頸部軟部組織損傷(CI),CTで説明できない神経学的異常,内因性血管病変を疑うくも膜下出血,静脈洞損傷を疑う骨折とした。CTAで血管損傷が疑われた(陽性)例には脳血管撮影を施行した。また,CTAで異常が認められなかった(陰性)例は, 6 か月以降に血管損傷に起因する合併症の有無を追跡調査した。結果:CTA陽性例は23例(27病変)であり,このうち病変を確定したのは18例(21病変)であった(陽性的中率77.8/%(21/27))。血管撮影では血管病変を25病変確認した。このうち, 4 病変(動静脈瘻 3,椎骨動脈内膜損傷 1)はCTAでは検出できなかった。スクリーニング基準毎の損傷頻度は,FFX 14.0%(7/50),SHI 11.9%(8/67),CI 11.8%(6/51),BFX 10.2%(9/88)で高値であった。CTA陰性例は210例で,追跡調査が可能であったのは132例であったが,脳血管障害を起こした症例はなかった。結論:CTAは頭頸部血管損傷のスクリーニング検査として有用である。しかし,軽度の動静脈瘻及び椎骨動脈病変の検出は今後の課題である。 |
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ISSN: | 0915-924X 1883-3772 |
DOI: | 10.3893/jjaam.20.84 |