喉頭浮腫を契機に発見されたHER2陽性腺癌による原発不明頸部転移癌の1例

今回,喉頭浮腫をきたしたHER2陽性腺癌による原発不明頸部転移癌の1例を経験したので報告する。症例は55歳女性で,両側頸部腫脹を主訴に当院受診した。経過中に喉頭浮腫を認め,保存的加療も奏功せず,顔面・頸部浮腫も出現した。頸部リンパ節生検では腺癌の転移を認め,腫瘍細胞はHER2陽性であった。同時に行った皮膚生検では癌性リンパ管症の所見を認めた。全身精査の結果,原発不明頸部転移癌と診断された。腋窩リンパ節転移も認め,乳癌に準じて抗HER2薬を含む化学療法を行ったところ,浮腫は著明に改善した。喉頭浮腫の鑑別として癌性リンパ管症を念頭におくべきである。また,HER2陽性原発不明腺癌では,腋窩リンパ節の...

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Published in頭頸部外科 Vol. 26; no. 2; pp. 265 - 269
Main Authors 御子柴, 卓弥, 冨田, 俊樹, 小川, 郁, 宇野, 光祐, 伊藤, 文展, 渡部, 佳弘, 小澤, 宏之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2016
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.26.265

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Summary:今回,喉頭浮腫をきたしたHER2陽性腺癌による原発不明頸部転移癌の1例を経験したので報告する。症例は55歳女性で,両側頸部腫脹を主訴に当院受診した。経過中に喉頭浮腫を認め,保存的加療も奏功せず,顔面・頸部浮腫も出現した。頸部リンパ節生検では腺癌の転移を認め,腫瘍細胞はHER2陽性であった。同時に行った皮膚生検では癌性リンパ管症の所見を認めた。全身精査の結果,原発不明頸部転移癌と診断された。腋窩リンパ節転移も認め,乳癌に準じて抗HER2薬を含む化学療法を行ったところ,浮腫は著明に改善した。喉頭浮腫の鑑別として癌性リンパ管症を念頭におくべきである。また,HER2陽性原発不明腺癌では,腋窩リンパ節の評価を踏まえた上で抗HER2薬の投与を検討すべきである。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.26.265