同時性肝転移を認めた大腸SM癌の1例

症例は71歳,男性.2002年9月便潜血陽性のため施行した大腸内視鏡検査にてS状結腸に13mm大のI sp型病変認め,EMRを施行した.病理組織学的所見は低分化腺癌,SM2,ly1,v1,VM1で大腸癌の遺残が疑われた.また腹部CTにて肝S5に1.6cm大,S7に4.0cm大の腫瘤性病変を認め,経皮的肝生検を施行した.肝生検結果は壊死を伴う中分化腺癌で大腸癌よりの肝転移と診断した.S状結腸切除術(D3郭清),肝後区域,S5部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見では原発巣のEMR部には癌の遺残は認めなかったが,リンパ節転移が認められた(N1).また肝腫瘍は中分化腺癌であった.術後化学療...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 4; pp. 945 - 949
Main Authors 吉岡, 茂, 若月, 一雄, 外岡, 亨, 片岡, 雅章, 太枝, 良夫, 宮澤, 康太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.945

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Summary:症例は71歳,男性.2002年9月便潜血陽性のため施行した大腸内視鏡検査にてS状結腸に13mm大のI sp型病変認め,EMRを施行した.病理組織学的所見は低分化腺癌,SM2,ly1,v1,VM1で大腸癌の遺残が疑われた.また腹部CTにて肝S5に1.6cm大,S7に4.0cm大の腫瘤性病変を認め,経皮的肝生検を施行した.肝生検結果は壊死を伴う中分化腺癌で大腸癌よりの肝転移と診断した.S状結腸切除術(D3郭清),肝後区域,S5部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的所見では原発巣のEMR部には癌の遺残は認めなかったが,リンパ節転移が認められた(N1).また肝腫瘍は中分化腺癌であった.術後化学療法は施行せず,術後97カ月たった現在無再発生存中である.大腸SM癌の同時性肝転移報告例は少なく,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.945