深在性真菌症の診断・治療におけるβ-D-グルカン値の評価
【目的】深在性真菌症の診断におけるβ-D-グルカン(BDG)の測定意義と適正な適用・評価法を考察した。【方法】単一大学病院の感染症検査室および薬剤部データベース解析により,1998~2005年に培養検査にて同定された深在性真菌症診断時のBDG値の使用価値を評価した。さらに,2005年度の抗真菌薬の使用開始理由とコストを調査した。【結果】(1)Receiver operating characteristic curve(ROC曲線)解析の結果,真菌血症時のBDGのcutoff値は11 pg·ml−1であった。(2)感度76.1%,特異度78.7%,陰性予測率99.7%であった。(3)抗真菌薬使...
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Published in | 日本集中治療医学会雑誌 Vol. 17; no. 1; pp. 33 - 38 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本集中治療医学会
01.01.2010
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ISSN | 1340-7988 1882-966X |
DOI | 10.3918/jsicm.17.33 |
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Summary: | 【目的】深在性真菌症の診断におけるβ-D-グルカン(BDG)の測定意義と適正な適用・評価法を考察した。【方法】単一大学病院の感染症検査室および薬剤部データベース解析により,1998~2005年に培養検査にて同定された深在性真菌症診断時のBDG値の使用価値を評価した。さらに,2005年度の抗真菌薬の使用開始理由とコストを調査した。【結果】(1)Receiver operating characteristic curve(ROC曲線)解析の結果,真菌血症時のBDGのcutoff値は11 pg·ml−1であった。(2)感度76.1%,特異度78.7%,陰性予測率99.7%であった。(3)抗真菌薬使用開始理由で,BDGを含む血清診断は24.4%を占めた。抗真菌薬使用患者のうち監視培養,もしくは監視培養指数0の症例を合わせると81.8%を占めた。(4)抗真菌薬コストは,広域スペクトラム抗菌薬コストに匹敵した。【結論】BDGは陰性予測率が高いため,除外診断検査として有用である。しかし,過剰診断・治療と支出増につながる危険性があり,患者背景や監視培養指数を加味した適応・評価が必要である。 |
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ISSN: | 1340-7988 1882-966X |
DOI: | 10.3918/jsicm.17.33 |