副腎原発腺腫様腫瘍の1例

腺腫様腫瘍(adenomatoid tumor,以下AT)は,子宮・卵管・精巣上体・精索といった生殖器系臓器に生じることが多い中皮細胞由来の良性腫瘍であり,副腎原発は稀である.今回,副腎原発のATの1例を経験した.文献的考察を加えて報告する. 症例は67歳,女性.腹部CTにて2.4cm大の左副腎腫瘍を指摘され経過観察されていた.6年後に4.0cm大へ増大を認めたため当院受診となった.血液・尿・画像検査より非機能性腫瘍と判断し,腹腔鏡下左副腎摘出術を施行した.術後,免疫組織化学検査を含めた病理検査によりATと診断した. 副腎原発のATについては,海外と本邦を合わせてこれまで34例報告されており,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 11; pp. 3201 - 3205
Main Authors 香川, 力, 日比, 八束, 岩瀬, 克己, 清水, 佳美, 柴田, 雅央, 小川, 貴美雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.3201

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Summary:腺腫様腫瘍(adenomatoid tumor,以下AT)は,子宮・卵管・精巣上体・精索といった生殖器系臓器に生じることが多い中皮細胞由来の良性腫瘍であり,副腎原発は稀である.今回,副腎原発のATの1例を経験した.文献的考察を加えて報告する. 症例は67歳,女性.腹部CTにて2.4cm大の左副腎腫瘍を指摘され経過観察されていた.6年後に4.0cm大へ増大を認めたため当院受診となった.血液・尿・画像検査より非機能性腫瘍と判断し,腹腔鏡下左副腎摘出術を施行した.術後,免疫組織化学検査を含めた病理検査によりATと診断した. 副腎原発のATについては,海外と本邦を合わせてこれまで34例報告されており,うち33例は男性例であり,女性での発症は本例が2例目である.ATは良性腫瘍でこれまで再発や転移の報告はみられないが,局所浸潤性に増殖する症例も報告されており,悪性腫瘍との鑑別を要することがある.稀ではあるが,副腎偶発腫瘍の鑑別の1つとして考えるべき組織型である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.3201