成人孤立性膵真性嚢胞の1例

症例は72歳,女性.主訴は腹部膨満感.膵頭部嚢胞性腫瘍の疑いにて当院消化器科紹介となった.ERCPでは主膵管は嚢胞に圧排されていたが,嚢胞との交通はなかった.腹部US・CTでは膵頭部に12×8cm大の嚢胞性腫瘤を認め,単房性・被膜は一様で内部均一であった.隔壁形成.腹部血管造影ではGDAは右へ強く圧排されていたが,encasement(-).以上の所見から悪性所見には乏しいものの以前より増大傾向があり,自覚症状もあることから手術を施行した.膵頭部に十二指腸・総胆管を圧排する薄い被膜を有する嚢胞が存在した.嚢胞内容液は無色透明,漿液性でアミラーゼは低値であった.膵頭部の正常膵組織は薄く引き延ばさ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 1; pp. 194 - 198
Main Authors 田中, 千弘, 加藤, 浩樹, 河合, 雅彦, 國枝, 克行, 松橋, 延壽, 長尾, 成敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.194

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Summary:症例は72歳,女性.主訴は腹部膨満感.膵頭部嚢胞性腫瘍の疑いにて当院消化器科紹介となった.ERCPでは主膵管は嚢胞に圧排されていたが,嚢胞との交通はなかった.腹部US・CTでは膵頭部に12×8cm大の嚢胞性腫瘤を認め,単房性・被膜は一様で内部均一であった.隔壁形成.腹部血管造影ではGDAは右へ強く圧排されていたが,encasement(-).以上の所見から悪性所見には乏しいものの以前より増大傾向があり,自覚症状もあることから手術を施行した.膵頭部に十二指腸・総胆管を圧排する薄い被膜を有する嚢胞が存在した.嚢胞内容液は無色透明,漿液性でアミラーゼは低値であった.膵頭部の正常膵組織は薄く引き延ばされており,主膵管も圧排されていると考えられ,十二指腸温存膵頭切除術を施行した.病理組織診断は真性嚢胞であった.術後経過は十二指腸の通過障害が若干認められたが,徐々に改善して術後第29病日全治退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.194