小腸重積をきたした好酸球性胃腸炎の1例

症例は44歳,女性.腹痛と下痢のため受診.腹部CT検査で複数箇所での腸重積が認められ外科紹介となった.保存的に経過をみたが,入院5日目の腹部CT検査で1箇所に腸重積が残存していたため手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を検索すると腸重積を認めたが,小腸の軽い牽引操作によって解除された.腸切除は施行しなかった.術後末梢血中の好酸球が徐々に増加し,術中採取した腹水からも多数の好酸球を認め,好酸球性胃腸炎と診断した.術後も腹痛は持続していたが,prednisoloneの内服が著効し腹痛は消失した.その後prednisoloneを漸減,中止したが,再発していない.非典型的な腸重積を認めた場合,好酸球性胃腸...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 11; pp. 2723 - 2727
Main Authors 有吉, 佑, 宮本, 英雄, 秋田, 倫幸, 斉藤, 拓康, 五明, 良仁, 池野, 龍雄, 川口, 研二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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Summary:症例は44歳,女性.腹痛と下痢のため受診.腹部CT検査で複数箇所での腸重積が認められ外科紹介となった.保存的に経過をみたが,入院5日目の腹部CT検査で1箇所に腸重積が残存していたため手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を検索すると腸重積を認めたが,小腸の軽い牽引操作によって解除された.腸切除は施行しなかった.術後末梢血中の好酸球が徐々に増加し,術中採取した腹水からも多数の好酸球を認め,好酸球性胃腸炎と診断した.術後も腹痛は持続していたが,prednisoloneの内服が著効し腹痛は消失した.その後prednisoloneを漸減,中止したが,再発していない.非典型的な腸重積を認めた場合,好酸球性胃腸炎もその原因疾患として考慮する必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.2723