高分化型・粘液型・多形型で構成される混合型後腹膜脂肪肉腫の1例

症例は58歳,男性.主訴は腹部膨満.CT検査で左後腹膜腔にS状結腸を右側へ圧排して存在する長径30cmの巨大腫瘍を認めた.腫瘤内部は充実性部分と,脂肪成分である低吸収部分で構成されていた.脂肪肉腫の疑いで手術を施行し,肉眼的遺残なく全摘出した.腫瘍の大きさは30×20×15cmであり,重さは4,100gであった.病理組織診断の結果,高分化型・粘液型・多形型の3つの組織像の腫瘍が概ね1:1:1の割合で併存する混合型脂肪肉腫であった.脂肪肉腫はWHOの組織型分類で4種類の組織型に分けられているが,そのうち2種以上の組織型からなる混合型は比較的まれであり,3種以上の組織型が共存する症例はさらに頻度が...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 11; pp. 2824 - 2830
Main Authors 河野, 恵美子, 吉田, 康之, 安政, 啓吾, 森本, 芳和, 谷口, 嘉毅, 山崎, 芳郎, 春日井, 務, 赤丸, 祐介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2824

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Summary:症例は58歳,男性.主訴は腹部膨満.CT検査で左後腹膜腔にS状結腸を右側へ圧排して存在する長径30cmの巨大腫瘍を認めた.腫瘤内部は充実性部分と,脂肪成分である低吸収部分で構成されていた.脂肪肉腫の疑いで手術を施行し,肉眼的遺残なく全摘出した.腫瘍の大きさは30×20×15cmであり,重さは4,100gであった.病理組織診断の結果,高分化型・粘液型・多形型の3つの組織像の腫瘍が概ね1:1:1の割合で併存する混合型脂肪肉腫であった.脂肪肉腫はWHOの組織型分類で4種類の組織型に分けられているが,そのうち2種以上の組織型からなる混合型は比較的まれであり,3種以上の組織型が共存する症例はさらに頻度が少ない.今回われわれは,3種の異なる組織型で構成された混合型後腹膜脂肪肉腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2824