急速な増大を示した肝類上皮血管内皮腫の1例

症例は72歳,女性.検診で肝腫瘍を指摘され肝血管腫として経過観察されていたが,約1年後に発熱,腹痛を来たし入院した.肝予備能の低下のほか,腹部CTにて肝右葉を中心にびまん性に造影効果の乏しい腫瘍を認め,確定診断目的に肝生検を行った.病理所見は上皮様配列を示す大型の異型細胞が門脈や類洞を置換性に増殖しており,また免疫染色でCD31(+),CD34(+),Factor VIII(+)と間葉系,血管内皮マーカーが陽性を示した.これらより肝類上皮血管内皮腫と診断した.肝類上皮血管内皮腫の発育は一般に緩徐とされているが,本例のように急速に増大し不良な経過をたどる症例もあり,本疾患を否定し得ない場合には積...

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Published in肝臓 Vol. 55; no. 10; pp. 619 - 625
Main Authors 岡井, 研, 高橋, 敦史, 阿部, 和道, 菅野, 有紀子, 林, 学, 今泉, 博道, 大平, 弘正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2014
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Summary:症例は72歳,女性.検診で肝腫瘍を指摘され肝血管腫として経過観察されていたが,約1年後に発熱,腹痛を来たし入院した.肝予備能の低下のほか,腹部CTにて肝右葉を中心にびまん性に造影効果の乏しい腫瘍を認め,確定診断目的に肝生検を行った.病理所見は上皮様配列を示す大型の異型細胞が門脈や類洞を置換性に増殖しており,また免疫染色でCD31(+),CD34(+),Factor VIII(+)と間葉系,血管内皮マーカーが陽性を示した.これらより肝類上皮血管内皮腫と診断した.肝類上皮血管内皮腫の発育は一般に緩徐とされているが,本例のように急速に増大し不良な経過をたどる症例もあり,本疾患を否定し得ない場合には積極的な肝生検と慎重な経過観察が望ましいと思われた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.55.619