右側結腸癌での回盲部切除症例の検討─回盲部温存は必要かつ可能か

研究の目的:結腸癌に対する回盲部切除術や結腸右半切除術では回盲部および終末回腸の一部が切除される.このような症例で回盲部温存の必要性や可能性について検討した.方法:当科で回盲部が切除された結腸癌症例150例を対象とした.周術期血中ナトリウム,中性脂肪,コレステロール値の変動,および術後の血中ビタミンB12値,貧血の程度につき検討した.また,術後排便習慣につきアンケート調査を行った.また,回盲部温存により,リンパ節郭清に対して影響があるかどうかを検討した.結果:血液検査の結果で,明らかに回盲部切除による影響は認めず,アンケート調査からは,排便に関する術前後の明らかな変化は認めなかった.回盲部温存...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 753 - 760
Main Authors 佐野, 渉, 鈴木, 大, 直井, 大志, 知久, 毅, 田代, 亜彦, 中田, 泰幸, 矢野, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.753

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Summary:研究の目的:結腸癌に対する回盲部切除術や結腸右半切除術では回盲部および終末回腸の一部が切除される.このような症例で回盲部温存の必要性や可能性について検討した.方法:当科で回盲部が切除された結腸癌症例150例を対象とした.周術期血中ナトリウム,中性脂肪,コレステロール値の変動,および術後の血中ビタミンB12値,貧血の程度につき検討した.また,術後排便習慣につきアンケート調査を行った.また,回盲部温存により,リンパ節郭清に対して影響があるかどうかを検討した.結果:血液検査の結果で,明らかに回盲部切除による影響は認めず,アンケート調査からは,排便に関する術前後の明らかな変化は認めなかった.回盲部温存可能性ありと考えられた結腸癌症例中,n(+)症例の25%では回結腸動脈領域のリンパ節転移陽性であった.結論:今回の検討では,回盲部を温存する必要性,温存できる可能性は低いと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.753