消化管穿孔をきたした腸管症型T細胞性リンパ腫の2例

消化管穿孔をきたした腸管症型T細胞性リンパ腫(enteropathy-associated T-cell lymphoma,以下EATL)の2例を経験した.症例は53歳および74歳のいずれも男性で,穿孔性腹膜炎の術前診断で緊急手術を施行した.穿孔部位は1例は小腸と結腸の多発穿孔であり,もう1例は小腸のみの穿孔であった.いずれも病変部の切除を行ったが,前者は第11病日に死亡し,後者は術後に化学療法を施行できたものの,原病の増悪により術後5カ月で死亡した.本邦報告63例の集計でもEATLは極めて予後不良であったが,わずかに長期生存例も認めた.長期生存を可能にするためには病変の可及的全切除と術後早期...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 10; pp. 2783 - 2788
Main Authors 岩井, 和浩, 狭間, 一明, 松井, あや, 佐藤, 暢人, 河合, 典子, 平野, 聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.2783

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Summary:消化管穿孔をきたした腸管症型T細胞性リンパ腫(enteropathy-associated T-cell lymphoma,以下EATL)の2例を経験した.症例は53歳および74歳のいずれも男性で,穿孔性腹膜炎の術前診断で緊急手術を施行した.穿孔部位は1例は小腸と結腸の多発穿孔であり,もう1例は小腸のみの穿孔であった.いずれも病変部の切除を行ったが,前者は第11病日に死亡し,後者は術後に化学療法を施行できたものの,原病の増悪により術後5カ月で死亡した.本邦報告63例の集計でもEATLは極めて予後不良であったが,わずかに長期生存例も認めた.長期生存を可能にするためには病変の可及的全切除と術後早期の化学療法が必須であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2783