無症状虫垂転移を同時切除した胃癌の1例

無症状の胃癌虫垂転移症例を経験した.症例は68歳の男性.胃膨満感と胃痛を主訴に近医より紹介受診.上部消化管内視鏡検査で胃体上部大彎に3型腫瘍を認め,生検にて高分化型管状腺癌を認め胃癌と診断した.腹部CTでは胃小彎リンパ節転移を認めたが,明らかな遠隔他臓器転移は認めなかった.術中所見で胃癌は膵体尾部に直接浸潤しており,更なる検索で先端が盲腸に浸潤した虫垂腫瘍を認めた.腹膜播種結節は認めず,同時性虫垂癌と診断し,胃全摘,膵体尾部切除,脾臓摘出,回盲部切除術を施行した.術後病理組織学的検査では虫垂には粘膜下層から漿膜下層を中心として中分化型管状腺癌が分布しており,免疫染色での染色態度に多くの一致を認...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 10; pp. 2230 - 2234
Main Authors 嶋村, 和彦, 原, 健太朗, 木村, 尚哉, 坂田, 真希子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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Summary:無症状の胃癌虫垂転移症例を経験した.症例は68歳の男性.胃膨満感と胃痛を主訴に近医より紹介受診.上部消化管内視鏡検査で胃体上部大彎に3型腫瘍を認め,生検にて高分化型管状腺癌を認め胃癌と診断した.腹部CTでは胃小彎リンパ節転移を認めたが,明らかな遠隔他臓器転移は認めなかった.術中所見で胃癌は膵体尾部に直接浸潤しており,更なる検索で先端が盲腸に浸潤した虫垂腫瘍を認めた.腹膜播種結節は認めず,同時性虫垂癌と診断し,胃全摘,膵体尾部切除,脾臓摘出,回盲部切除術を施行した.術後病理組織学的検査では虫垂には粘膜下層から漿膜下層を中心として中分化型管状腺癌が分布しており,免疫染色での染色態度に多くの一致を認めたため,胃癌の虫垂転移と診断した.本症例のように無症状の虫垂転移を伴う胃癌症例もあるため,術前画像診断,術中腹腔内検索が重要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2230