乳腺葉状腫瘍切除後6年目に発症した孤立性肺転移の1切除例

症例は54歳女性.他院で左乳腺葉状腫瘍に対して手術施行後,経過観察され,再発を指摘されていなかった.乳腺腫瘍術後6年目に咳嗽,胸部圧迫感を認めた.胸部CT上,左肺上葉中枢側を主座に内部不均一な長径16 cmの腫瘤影を認めた.CTガイド下生検を施行し,紡錘形細胞腫瘍を認めた.他臓器に転移病巣を認めず手術の方針となった.審査胸腔鏡検査で播種病変を認めず切除可能と判断した.左主肺動脈への腫瘍浸潤があり,胸骨正中切開でアプローチし左肺全摘除を施行した.最終病理診断で,肺腫瘍は乳腺葉状腫瘍の肺転移であった.乳腺葉状腫瘍は比較的まれな腫瘍であり,予後は比較的良好とされているが,再発症例や悪性転化症例の報告...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31; no. 1; pp. 81 - 86
Main Authors 安川, 元章, 東条, 尚, 河合, 紀和, 川口, 剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2017
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.31.81

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Summary:症例は54歳女性.他院で左乳腺葉状腫瘍に対して手術施行後,経過観察され,再発を指摘されていなかった.乳腺腫瘍術後6年目に咳嗽,胸部圧迫感を認めた.胸部CT上,左肺上葉中枢側を主座に内部不均一な長径16 cmの腫瘤影を認めた.CTガイド下生検を施行し,紡錘形細胞腫瘍を認めた.他臓器に転移病巣を認めず手術の方針となった.審査胸腔鏡検査で播種病変を認めず切除可能と判断した.左主肺動脈への腫瘍浸潤があり,胸骨正中切開でアプローチし左肺全摘除を施行した.最終病理診断で,肺腫瘍は乳腺葉状腫瘍の肺転移であった.乳腺葉状腫瘍は比較的まれな腫瘍であり,予後は比較的良好とされているが,再発症例や悪性転化症例の報告もある.今回我々は乳腺葉状腫瘍術後6年の経過で,左肺に孤立性に肺転移した症例に対して完全切除し得たので,若干の文献的考察を加え報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.31.81