乳腺原発悪性線維性組織球腫の1例

悪性線維性組織球腫(MFH)は四肢・躯幹・後腹膜を好発部位とする全身の間質組織に発生するまれな腫瘍である.今回,乳腺に発生したMFHの1例を経験したので報告する.症例は57歳の女性.右乳房の腫瘤を主訴に当科を受診した.右CD領域に4.0cmの圧痛を伴う辺縁平滑で可動性不良な硬い腫瘤を触知した.マンモグラフィーでは微細分葉状の高濃度腫瘤であり,超音波では2.0cmの境界明瞭な分葉状の低エコー像でった.造影MRI検査では動脈相から濃染し,後期相で信号が漸減する腫瘤影を認めた.穿刺吸引細胞診にてClassVの診断であった.乳癌の術前診断にて乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を行った.病理組織診ではstri...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 12; pp. 3011 - 3017
Main Authors 内藤, 愼二, 柴崎, 信一, 古川, 克郎, 岡, 忠之, 中尾, 健次郎, 黨, 和夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.3011

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Summary:悪性線維性組織球腫(MFH)は四肢・躯幹・後腹膜を好発部位とする全身の間質組織に発生するまれな腫瘍である.今回,乳腺に発生したMFHの1例を経験したので報告する.症例は57歳の女性.右乳房の腫瘤を主訴に当科を受診した.右CD領域に4.0cmの圧痛を伴う辺縁平滑で可動性不良な硬い腫瘤を触知した.マンモグラフィーでは微細分葉状の高濃度腫瘤であり,超音波では2.0cmの境界明瞭な分葉状の低エコー像でった.造影MRI検査では動脈相から濃染し,後期相で信号が漸減する腫瘤影を認めた.穿刺吸引細胞診にてClassVの診断であった.乳癌の術前診断にて乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を行った.病理組織診ではstriform patternを呈しながら錯綜,増殖する紡錘形の異型細胞からなる充実性腫瘍であった.免疫組織学的検査ではactin,S-100,EMA,Keratinが陰性であり,MFHと診断した.術後補助療法は行わず,術後1年10カ月経過したが再発は認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.3011