細胆管細胞癌の1例

細胆管細胞癌は肝幹細胞由来の稀な腫瘍である.今回,われわれは典型例を経験したので画像所見と病理所見を提示する.症例は61歳,男性.腹部dynamic CTにて肝S7に動脈相で辺縁が優位に造影され平衡相で造影効果が遷延し内部が造影される最大径45mmの腫瘤影が認められた.腹部超音波では低エコー腫瘤として描出された.プリモビスト造影MRIではこの腫瘤は動脈相で辺縁が優位に造影され,肝細胞造影相では低信号に描出された.以上の所見から肝内胆管癌を疑い,肝S7亜区域切除術を施行した.腫瘍の病理組織像は細胆管に類似した小型腺管が密に増殖する高分化型腺癌であった.免疫染色にて腫瘍細胞はCK-7,CK-19,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 2; pp. 461 - 465
Main Authors 半田, 寛, 山梨, 高広, 鳥海, 史樹, 赤松, 秀敏, 向井, 清, 下山, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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Summary:細胆管細胞癌は肝幹細胞由来の稀な腫瘍である.今回,われわれは典型例を経験したので画像所見と病理所見を提示する.症例は61歳,男性.腹部dynamic CTにて肝S7に動脈相で辺縁が優位に造影され平衡相で造影効果が遷延し内部が造影される最大径45mmの腫瘤影が認められた.腹部超音波では低エコー腫瘤として描出された.プリモビスト造影MRIではこの腫瘤は動脈相で辺縁が優位に造影され,肝細胞造影相では低信号に描出された.以上の所見から肝内胆管癌を疑い,肝S7亜区域切除術を施行した.腫瘍の病理組織像は細胆管に類似した小型腺管が密に増殖する高分化型腺癌であった.免疫染色にて腫瘍細胞はCK-7,CK-19,NCAMおよびEMAがいずれも陽性であり,細胆管細胞癌と確定診断された.肝内胆管癌と同様な造影パターンを示す腫瘍でも低エコー腫瘤であった場合は,鑑別診断として細胆管細胞癌も考慮すべきであったと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.461