鼠径ヘルニア修復術7年後にメッシュプラグによる盲腸穿通をきたした1例

症例は57歳,男性.平成15年に他院にてメッシュプラグ法による右鼠径ヘルニア手術を施行された.術後7年が経過した平成22年4月中旬より右鼠径部の発赤と腫脹が出現し,数日後に自壊・排膿した.前医にて3カ月間にわたり創処置を継続されたが治癒しないため,同年8月当科受診.CTでは腹壁内に膿瘍を認め,回盲部腸管との交通も疑われた.手術所見では,右内鼠径輪付近の腹壁から腹腔内に突出したプラグが回盲部腸管に強固に癒着しており,盲腸壁への穿通が認められた.プラグの除去とともに回盲部切除を施行し,オンレイ・メッシュの除去も行った.術後は創部感染を認めたものの,第8病日に軽快退院した.鼠径ヘルニア術後には,プラ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 12; pp. 3187 - 3191
Main Authors 坂田, 宏樹, 小山, 広人, 豊田, 宏之, 白木, 孝之, 高橋, 里奈, 中沢, 祥子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は57歳,男性.平成15年に他院にてメッシュプラグ法による右鼠径ヘルニア手術を施行された.術後7年が経過した平成22年4月中旬より右鼠径部の発赤と腫脹が出現し,数日後に自壊・排膿した.前医にて3カ月間にわたり創処置を継続されたが治癒しないため,同年8月当科受診.CTでは腹壁内に膿瘍を認め,回盲部腸管との交通も疑われた.手術所見では,右内鼠径輪付近の腹壁から腹腔内に突出したプラグが回盲部腸管に強固に癒着しており,盲腸壁への穿通が認められた.プラグの除去とともに回盲部切除を施行し,オンレイ・メッシュの除去も行った.術後は創部感染を認めたものの,第8病日に軽快退院した.鼠径ヘルニア術後には,プラグと消化管との癒着による消化管障害が合併する可能性も考慮する必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.3187