陳旧性の被膜下血腫を伴った自然脾破裂の1例

症例は25歳,男性.2007年7月心窩部痛を主訴に消化器内科を受診した.血液検査で貧血が認められ,上部消化管内視鏡検査で,萎縮性胃炎と診断された.9月中旬,夕方より腹痛が出現し,23時当院の救急外来に受診した.CTで脾破裂に伴う血性腹水貯留をと診断したが,貧血も認めず,全身状態も良好であったため,経過観察のため入院した.翌朝,腹痛増強,腹膜刺激症状を認め,ショック状態となったため,脾破裂に伴う出血性ショックの診断で緊急手術とした.左腹腔内を中心に約3,000mlの血液および凝血塊と,脾臓の上極よりの出血を認めたため,脾摘出術を施行した.病理組織学的検査では脾破裂の原因となる病変を認めず,外傷の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 2; pp. 544 - 547
Main Authors 南, 裕太, 武田, 和永, 上田, 倫夫, 田中, 邦哉, 遠藤, 格, 嶋田, 紘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.544

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Summary:症例は25歳,男性.2007年7月心窩部痛を主訴に消化器内科を受診した.血液検査で貧血が認められ,上部消化管内視鏡検査で,萎縮性胃炎と診断された.9月中旬,夕方より腹痛が出現し,23時当院の救急外来に受診した.CTで脾破裂に伴う血性腹水貯留をと診断したが,貧血も認めず,全身状態も良好であったため,経過観察のため入院した.翌朝,腹痛増強,腹膜刺激症状を認め,ショック状態となったため,脾破裂に伴う出血性ショックの診断で緊急手術とした.左腹腔内を中心に約3,000mlの血液および凝血塊と,脾臓の上極よりの出血を認めたため,脾摘出術を施行した.病理組織学的検査では脾破裂の原因となる病変を認めず,外傷の既往や,基礎疾患もないため,自然脾破裂と診断した.術後経過は良好で術後8日目に退院となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.544