ペグインターフェロン・リバビリン治療にて著効と判定された9年後にHCV陽性および肝細胞癌と診断された1例

症例は71歳,男性.C型慢性肝炎,HCV genotype 1b,高ウイルス量に対し,Peg-IFN・リバビリン併用療法を行い,HCV RNA定性検査を用いた評価にてSVRと判定された.SVR判定から約9年後に肝機能の上昇とHCV RNA陽性を指摘され,肝細胞癌の併発を認めた.治療前と9年後のHCV株の解析により,これらの株が同じgenotype 1bに属し,系統樹上で近縁に位置することが明らかとなった.さらに治療24週後のHCV RNA定性検査陰性の保存血清を用いた検討では,リアルタイムPCR法によりHCV RNAが検出され,本症例はSVRに至らなかった例であったことが示された.肝細胞癌の発...

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Published in肝臓 Vol. 56; no. 11; pp. 610 - 616
Main Authors 山田, 典栄, 小林, 稔, 今井, 康晴, 加藤, 孝宣, 四柳, 宏, 鈴木, 通博, 安田, 清美, 奥瀬, 千晃
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.610

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Summary:症例は71歳,男性.C型慢性肝炎,HCV genotype 1b,高ウイルス量に対し,Peg-IFN・リバビリン併用療法を行い,HCV RNA定性検査を用いた評価にてSVRと判定された.SVR判定から約9年後に肝機能の上昇とHCV RNA陽性を指摘され,肝細胞癌の併発を認めた.治療前と9年後のHCV株の解析により,これらの株が同じgenotype 1bに属し,系統樹上で近縁に位置することが明らかとなった.さらに治療24週後のHCV RNA定性検査陰性の保存血清を用いた検討では,リアルタイムPCR法によりHCV RNAが検出され,本症例はSVRに至らなかった例であったことが示された.肝細胞癌の発症はHCVが排除されておらず感染が持続していたことに起因すると考えられた.C型慢性肝炎治癒後の経過観察では,SVR判定後も高感度検出系によるHCV RNAの定期的な検査が重要であることが示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.610