非典型的な画像所見を呈した肝reactive lymphoid hyperplasiaの一若年例

症例は35歳女性.2015年11月,人間ドックでの超音波検査にて肝内側区域に径20 mmの低エコー腫瘤を指摘された.血液検査所見では腫瘍マーカーを含めて正常範囲で,肝炎ウイルスマーカーも陰性であった.単純CTでは肝S3/4境界部に低吸収の腫瘤を認め,動脈相で造影されず平衡相にかけて漸増性に造影されていた.また,腫瘤周囲の組織が動脈相で濃染され平衡相では低吸収であった.造影MRI検査では腫瘤は造影効果に乏しく,腫瘤周囲の組織は動脈相でのみ造影された.画像所見から良悪性の鑑別がつかず,肝左葉切除を行った.病理組織検査では異型に乏しいリンパ球が濾胞を形成しており,構造異型も認められずreactive...

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Published in肝臓 Vol. 58; no. 10; pp. 559 - 566
Main Authors 宮崎, 勇希, 原, 康之, 宮城, 重人, 中西, 史, 戸子台, 和哲, 中西, 渉, 村上, 圭吾, 海野, 倫明, 亀井, 尚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2017
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Summary:症例は35歳女性.2015年11月,人間ドックでの超音波検査にて肝内側区域に径20 mmの低エコー腫瘤を指摘された.血液検査所見では腫瘍マーカーを含めて正常範囲で,肝炎ウイルスマーカーも陰性であった.単純CTでは肝S3/4境界部に低吸収の腫瘤を認め,動脈相で造影されず平衡相にかけて漸増性に造影されていた.また,腫瘤周囲の組織が動脈相で濃染され平衡相では低吸収であった.造影MRI検査では腫瘤は造影効果に乏しく,腫瘤周囲の組織は動脈相でのみ造影された.画像所見から良悪性の鑑別がつかず,肝左葉切除を行った.病理組織検査では異型に乏しいリンパ球が濾胞を形成しており,構造異型も認められずreactive lymphoid hyperplasia(RLH)の診断となった.本症例はこれまで報告されたRLHとは異なった画像所見を呈しており,また本邦における肝RLHの報告例としては最若年であった.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.58.559