メッシュの遅発性感染による虫垂周囲膿瘍の1例
症例は69歳の男性。2004年9月に右鼠径ヘルニア根治術(Mesh─Plug法)を施行した。術後経過に特に問題を認めなかった。2010年8月,1ヵ月前からの右鼠径部の腫脹と疼痛を主訴に当院を受診した。CTで右鼠径部の蜂窩織炎と,プラグと虫垂の間に膿瘍を認めた。緊急入院とし保存的治療を試みたが奏功せず,第9病日にプラグ除去と虫垂切除を施行した。病理組織検査で虫垂に炎症所見を認めず,プラグ周囲組織には炎症細胞浸潤を認め,メッシュの遅発性感染による虫垂周囲膿瘍と診断した。術後経過は良好であり,鼠径ヘルニアの再発も認めていない。右鼠径ヘルニア根治術後のメッシュの遅発性感染により,虫垂周囲膿瘍を生じた症...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 32; no. 1; pp. 121 - 124 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2012
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.32.121 |
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Summary: | 症例は69歳の男性。2004年9月に右鼠径ヘルニア根治術(Mesh─Plug法)を施行した。術後経過に特に問題を認めなかった。2010年8月,1ヵ月前からの右鼠径部の腫脹と疼痛を主訴に当院を受診した。CTで右鼠径部の蜂窩織炎と,プラグと虫垂の間に膿瘍を認めた。緊急入院とし保存的治療を試みたが奏功せず,第9病日にプラグ除去と虫垂切除を施行した。病理組織検査で虫垂に炎症所見を認めず,プラグ周囲組織には炎症細胞浸潤を認め,メッシュの遅発性感染による虫垂周囲膿瘍と診断した。術後経過は良好であり,鼠径ヘルニアの再発も認めていない。右鼠径ヘルニア根治術後のメッシュの遅発性感染により,虫垂周囲膿瘍を生じた症例は本邦ではみられないため,文献的考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.32.121 |