淡明細胞肝内胆管癌の1例

症例は63歳,男性.腹部超音波検査にて肝S8に腫瘍を指摘され来院.CTでは腫瘍は径6.5cm大,造影早期に辺縁部が強く濃染され後期相ではwash outされるが内部は造影が遷延した.混合型肝癌,肝内胆管癌の疑いにて肝右葉切除を施行した.腫瘍割面は白色で明らかな被膜形成は伴わず膨張性に発育していた.病理組織所見では淡明で大型の細胞質と腫大した不整形核を有する異型細胞が腺管構造と不規則に融合する胞巣を形成して増殖.細胞質はPAS染色で弱く染色されグリコーゲンの存在が考えられた.免疫組織染色ではCD10,Vimentin,AFP,HepPar1,CK7,CK20はいずれも陰性であった.以上の特徴から...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 12; pp. 3260 - 3265
Main Authors 遠藤, 文庫, 武田, 和憲, 成島, 陽一, 原田, 昭彦, 鈴木, 博義, 島村, 弘宗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.3260

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Summary:症例は63歳,男性.腹部超音波検査にて肝S8に腫瘍を指摘され来院.CTでは腫瘍は径6.5cm大,造影早期に辺縁部が強く濃染され後期相ではwash outされるが内部は造影が遷延した.混合型肝癌,肝内胆管癌の疑いにて肝右葉切除を施行した.腫瘍割面は白色で明らかな被膜形成は伴わず膨張性に発育していた.病理組織所見では淡明で大型の細胞質と腫大した不整形核を有する異型細胞が腺管構造と不規則に融合する胞巣を形成して増殖.細胞質はPAS染色で弱く染色されグリコーゲンの存在が考えられた.免疫組織染色ではCD10,Vimentin,AFP,HepPar1,CK7,CK20はいずれも陰性であった.以上の特徴から淡明細胞肝内胆管癌(intrahepatic clear cell cholangiocarcinoma)と診断した.淡明細胞肝内胆管癌の文献報告は9例のみで極めてまれな腫瘍であるため報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.3260