カプセル内視鏡とダブルバルーン内視鏡を用いて術前診断された腎細胞癌小腸転移の1例

症例は10年前に右腎細胞癌の既往がある68歳男性.貧血を指摘されたが,上・下部内視鏡検査で問題を認めなかった.カプセル内視鏡を施行すると小腸に隆起性病変を認めたため,ダブルバルーン内視鏡を行い,回腸末端から180cmの小腸にIspポリープを認め,生検で腎細胞癌の小腸転移と診断した.回腸部分切除を行ったところ,病理組織でも腎癌の小腸転移の診断だった.その7カ月後に再度,小腸転移を認め小腸部分切除を施行しているが現在初回手術から16カ月生存中である.腎癌は術後長期間にわたって異時性転移を認めるが,小腸転移はその中でも稀で,診断が困難であることが多い.しかし,早期発見により本症例のように延命やQOL...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 128 - 131
Main Authors 古嶋, 薫, 小西, 敏郎, 野家, 環, 針原, 康, 渡辺, 一輝, 伊藤, 契
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.128

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Summary:症例は10年前に右腎細胞癌の既往がある68歳男性.貧血を指摘されたが,上・下部内視鏡検査で問題を認めなかった.カプセル内視鏡を施行すると小腸に隆起性病変を認めたため,ダブルバルーン内視鏡を行い,回腸末端から180cmの小腸にIspポリープを認め,生検で腎細胞癌の小腸転移と診断した.回腸部分切除を行ったところ,病理組織でも腎癌の小腸転移の診断だった.その7カ月後に再度,小腸転移を認め小腸部分切除を施行しているが現在初回手術から16カ月生存中である.腎癌は術後長期間にわたって異時性転移を認めるが,小腸転移はその中でも稀で,診断が困難であることが多い.しかし,早期発見により本症例のように延命やQOLの向上につながる症例もあるため,腎癌の既往がある場合には,腎癌小腸転移も疑って,積極的にカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡を施行する必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.128