海綿状血管腫が併存した肝硬化性血管腫の1例

肝硬化性血管腫は肝血管腫が線維化,硝子化変性したもので,比較的まれな疾患である.今回われわれは肝内に海綿状血管腫が多発した肝硬化性血管腫の1例を経験したので報告する.症例は72歳女性.他疾患で撮影されたCTで肝腫瘤を指摘された.CTでは単純で低吸収域,動脈相で辺縁がわずかに造影され,門脈相でも辺縁が造影された.肝右葉に多発していた海綿状血管腫とは造影パターンが異なっていた.MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で淡い高信号,造影ではCT同様辺縁が造影された.以上から胆管細胞癌を疑い,肝左葉切除を行った.腫瘤は5.5cm大の白色充実性腫瘤で,病理組織学的所見は硝子様,線維間質を有し,硬化性...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 12; pp. 3120 - 3124
Main Authors 北見, 智恵, 河内, 保之, 西村, 淳, 牧野, 成人, 川原, 聖佳子, 新国, 恵也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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Summary:肝硬化性血管腫は肝血管腫が線維化,硝子化変性したもので,比較的まれな疾患である.今回われわれは肝内に海綿状血管腫が多発した肝硬化性血管腫の1例を経験したので報告する.症例は72歳女性.他疾患で撮影されたCTで肝腫瘤を指摘された.CTでは単純で低吸収域,動脈相で辺縁がわずかに造影され,門脈相でも辺縁が造影された.肝右葉に多発していた海綿状血管腫とは造影パターンが異なっていた.MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で淡い高信号,造影ではCT同様辺縁が造影された.以上から胆管細胞癌を疑い,肝左葉切除を行った.腫瘤は5.5cm大の白色充実性腫瘤で,病理組織学的所見は硝子様,線維間質を有し,硬化性血管腫と診断された.線維成分に富む肝腫瘍を認めた場合,鑑別診断のひとつとして本症を念頭におく必要があると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.3120