鼻性眼窩内合併症の臨床的特徴と視力予後

2007年1月から2017年9月までの間に当科を受診した急性副鼻腔炎あるいは囊胞を原因とする鼻性眼窩内合併症20例の臨床的特徴について原因疾患別に比較検討を行った。急性副鼻腔炎例では,視力障害出現から48時間以上経過したものは視力予後が不良であった。囊胞例の多くは術後性の後部篩骨洞囊胞であった。視力障害出現から48時間経過しても視力は比較的保たれている症例が多かった。一方で,急速に視力障害が進行する症例があり,その視力予後は不良であった。囊胞例の多くが診断までに時間を要しており,歯齦切開による経上顎洞法副鼻腔手術歴のある症例で視力障害を認めた場合には,後部篩骨洞囊胞の存在を疑うことが肝要と思わ...

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Published in頭頸部外科 Vol. 29; no. 3; pp. 267 - 272
Main Authors 宮下, 圭一, 黒野, 祐一, 川畠, 雅樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2020
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ISSN1349-581X
1884-474X
DOI10.5106/jjshns.29.267

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Summary:2007年1月から2017年9月までの間に当科を受診した急性副鼻腔炎あるいは囊胞を原因とする鼻性眼窩内合併症20例の臨床的特徴について原因疾患別に比較検討を行った。急性副鼻腔炎例では,視力障害出現から48時間以上経過したものは視力予後が不良であった。囊胞例の多くは術後性の後部篩骨洞囊胞であった。視力障害出現から48時間経過しても視力は比較的保たれている症例が多かった。一方で,急速に視力障害が進行する症例があり,その視力予後は不良であった。囊胞例の多くが診断までに時間を要しており,歯齦切開による経上顎洞法副鼻腔手術歴のある症例で視力障害を認めた場合には,後部篩骨洞囊胞の存在を疑うことが肝要と思われる。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.29.267