葉状腫瘍内に併存した浸潤性乳管癌の1例

乳腺葉状腫瘍内に乳癌が併存することは非常に稀である.今回,われわれは境界悪性の乳腺葉状腫瘍内に乳癌の併存を認めた1例を経験したので報告する.症例は74歳,女性.初診の約1年前より右乳房腫瘤を自覚し,当院を受診した.3cmの平滑腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて良性,線維腺腫と診断し経過観察となった.1年半後に受診した際に約7×4cmに増大したため,葉状腫瘍を疑い,全身麻酔下に乳腺腫瘍摘出術を行った.7.0×5.5cm大の境界悪性葉状腫瘍の内部に4.6×2.2mmの浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌)の併発を認めた.乳癌に対するホルモン療法としてレトロゾールの内服を5年間行い,術後6年まで局所再発や遠隔転移の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 12; pp. 2920 - 2924
Main Authors 國久, 智成, 寺村, 一裕, 脇田, 和幸, 水本, 紗千子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2920

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Summary:乳腺葉状腫瘍内に乳癌が併存することは非常に稀である.今回,われわれは境界悪性の乳腺葉状腫瘍内に乳癌の併存を認めた1例を経験したので報告する.症例は74歳,女性.初診の約1年前より右乳房腫瘤を自覚し,当院を受診した.3cmの平滑腫瘤を認め,穿刺吸引細胞診にて良性,線維腺腫と診断し経過観察となった.1年半後に受診した際に約7×4cmに増大したため,葉状腫瘍を疑い,全身麻酔下に乳腺腫瘍摘出術を行った.7.0×5.5cm大の境界悪性葉状腫瘍の内部に4.6×2.2mmの浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌)の併発を認めた.乳癌に対するホルモン療法としてレトロゾールの内服を5年間行い,術後6年まで局所再発や遠隔転移の兆候は無い. 本邦での葉状腫瘍と乳癌の同時同側発生の報告は,検索範囲内では自験例を含め38例であった.そのうち葉状腫瘍内の乳癌の発生は17例であった.文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2920