鑑別に苦慮した肺腺癌合併前縦隔悪性リンパ腫の一例

鑑別に苦慮した肺腺癌合併前縦隔悪性リンパ腫の一例を経験した.62歳女性.胸部X線異常で当院受診した.胸部CTで右肺上葉,前縦隔,胸骨上窩に結節影を認めた.肺病変は経気管支肺生検にて腺癌の診断となった.前縦隔結節は最大径22 mm,胸骨上窩結節は最大径9 mmであり,いずれもFDG-PETで高集積を認めた.MRI信号パターンから胸腺由来と考えられた.腫瘍マーカーはsIL2-Rを含め正常範囲内であった.右上葉肺腺癌及び前縦隔腫瘍(胸腺癌疑い)の診断のもと,右肺上葉切除+縦隔リンパ節郭清術及び縦隔腫瘍・胸腺摘出術を施行した.縦隔腫瘍及び胸骨上窩結節は病理診断でdiffuse large B-cell...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 78 - 83
Main Authors 河野, 幹寛, 岡本, 龍郎, 須田, 健一, 吉田, 月久, 前原, 喜彦, 藤下, 卓才
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 2015
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.29.78

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Summary:鑑別に苦慮した肺腺癌合併前縦隔悪性リンパ腫の一例を経験した.62歳女性.胸部X線異常で当院受診した.胸部CTで右肺上葉,前縦隔,胸骨上窩に結節影を認めた.肺病変は経気管支肺生検にて腺癌の診断となった.前縦隔結節は最大径22 mm,胸骨上窩結節は最大径9 mmであり,いずれもFDG-PETで高集積を認めた.MRI信号パターンから胸腺由来と考えられた.腫瘍マーカーはsIL2-Rを含め正常範囲内であった.右上葉肺腺癌及び前縦隔腫瘍(胸腺癌疑い)の診断のもと,右肺上葉切除+縦隔リンパ節郭清術及び縦隔腫瘍・胸腺摘出術を施行した.縦隔腫瘍及び胸骨上窩結節は病理診断でdiffuse large B-cell lymphomaと診断された.本症例は比較的高齢であり,腫瘍も比較的小さく,臨床経過からも悪性リンパ腫としては非特異的であり,画像所見でも悪性リンパ腫は否定的と考えられた.術前の画像所見に関わらず悪性リンパ腫は常に鑑別に置く必要があると考えられた.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.29.78