乳腺顆粒細胞腫の1例

症例は31歳の女性.左乳房B区に約2cmの硬結を触知し,左乳癌の疑いで当科紹介となった.マンモグラフィで左乳房内側下方に局所的非対称陰影を伴う構築の乱れを認め,カテゴリー4と診断した.超音波検査では辺縁不整で境界不明瞭な低エコー領域を認めた.MRI検査ではtime intensity curveは漸増型であったが,腫瘤の辺縁にスピキュラを認め画像所見上は悪性腫瘍を疑った.針生検で乳腺顆粒細胞腫と診断した.しかし,画像上は悪性所見を呈していたため,診断と治療を兼ねて左乳腺腫瘍摘出術を施行した.病理組織所見でも悪性所見は認めず,良性の乳腺顆粒細胞腫と診断した.本疾患は理学所見および画像所見が乳癌に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 12; pp. 2613 - 2618
Main Authors 藤井, 雅和, 須藤, 隆一郎, 野島, 真治, 金田, 好和, 池, 創一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.2613

Cover

More Information
Summary:症例は31歳の女性.左乳房B区に約2cmの硬結を触知し,左乳癌の疑いで当科紹介となった.マンモグラフィで左乳房内側下方に局所的非対称陰影を伴う構築の乱れを認め,カテゴリー4と診断した.超音波検査では辺縁不整で境界不明瞭な低エコー領域を認めた.MRI検査ではtime intensity curveは漸増型であったが,腫瘤の辺縁にスピキュラを認め画像所見上は悪性腫瘍を疑った.針生検で乳腺顆粒細胞腫と診断した.しかし,画像上は悪性所見を呈していたため,診断と治療を兼ねて左乳腺腫瘍摘出術を施行した.病理組織所見でも悪性所見は認めず,良性の乳腺顆粒細胞腫と診断した.本疾患は理学所見および画像所見が乳癌に極めて類似し,乳癌との鑑別が困難な場合もあるため,本症例を疑う場合はまず腫瘍摘出術を行い,完全に摘出した腫瘍の永久標本の結果もって診断を行うべきであると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.2613