男性に発症した原発巣不明の転移性小腸絨毛癌の1例
症例は69歳,男性.主訴は黒色便.画像検査で,直腸癌と多発性肝・肺転移,並びに腹膜播種を認めた.下部消化管内視鏡検査で直腸癌からの出血はなく,上部消化管内視鏡検査でも出血は認められなかった.播種性病変の小腸浸潤が黒色便の原因と診断し,出血のコントロールが困難なため,手術を施行した.術中所見では,腹膜播種は認められず,小腸に腹腔内出血を伴う腫瘍性病変を3カ所認め,各々を小腸部分切除した.直腸癌は,高位前方切除術を施行した.小腸病変は,病理組織学的検査にてsyncytiotrophoblast様の多核巨細胞が散在し,免疫組織化学染色でHCG陽性であり,絨毛癌と診断された.術後経過は,再度消化管出血...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 12; pp. 3192 - 3196 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2012
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.73.3192 |
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Summary: | 症例は69歳,男性.主訴は黒色便.画像検査で,直腸癌と多発性肝・肺転移,並びに腹膜播種を認めた.下部消化管内視鏡検査で直腸癌からの出血はなく,上部消化管内視鏡検査でも出血は認められなかった.播種性病変の小腸浸潤が黒色便の原因と診断し,出血のコントロールが困難なため,手術を施行した.術中所見では,腹膜播種は認められず,小腸に腹腔内出血を伴う腫瘍性病変を3カ所認め,各々を小腸部分切除した.直腸癌は,高位前方切除術を施行した.小腸病変は,病理組織学的検査にてsyncytiotrophoblast様の多核巨細胞が散在し,免疫組織化学染色でHCG陽性であり,絨毛癌と診断された.術後経過は,再度消化管出血を認め,肝転移を含む全ての転移巣が急速に増大し,術後18日目に死亡された. 今回われわれは,緩和手術を施行したが,急速に病状が悪化し,死亡に至った原発巣不明の転移性小腸絨毛癌の1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.73.3192 |