胃粘膜下腫瘍との鑑別が困難であった膵リンパ上皮性嚢胞の1例
症例は65歳,男性.腎結石の精査目的に施行された腹部CT検査で,胃膵間に腫瘤を指摘され当科紹介となった.画像上,胃体部後壁と膵体部に接する径45mmの内部に隔壁を有さない単房性腫瘤を認め,超音波内視鏡検査では一部胃壁との連続性を認め,胃壁外性に進展した胃GISTまたは膵嚢胞性疾患と術前診断し手術を施行した.手術所見では,胃噴門部背側,膵体部頭~背側に浸潤する5cm大の腫瘍を認め,悪性を否定できないため膵体尾部切除術,脾臓摘出術,胃部分切除術を行い一塊に摘出した.術後病理所見では,単房性の嚢胞内腔は淡黄色泥状の角化物で満たされ,組織学的には内腔面は重層扁平上皮で裏打ちされ,壁には明瞭な濾胞を含む...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 1; pp. 199 - 203 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2009
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.70.199 |
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Summary: | 症例は65歳,男性.腎結石の精査目的に施行された腹部CT検査で,胃膵間に腫瘤を指摘され当科紹介となった.画像上,胃体部後壁と膵体部に接する径45mmの内部に隔壁を有さない単房性腫瘤を認め,超音波内視鏡検査では一部胃壁との連続性を認め,胃壁外性に進展した胃GISTまたは膵嚢胞性疾患と術前診断し手術を施行した.手術所見では,胃噴門部背側,膵体部頭~背側に浸潤する5cm大の腫瘍を認め,悪性を否定できないため膵体尾部切除術,脾臓摘出術,胃部分切除術を行い一塊に摘出した.術後病理所見では,単房性の嚢胞内腔は淡黄色泥状の角化物で満たされ,組織学的には内腔面は重層扁平上皮で裏打ちされ,壁には明瞭な濾胞を含むリンパ組織を認めたため,膵リンパ上皮性嚢胞と診断した.今回われわれは胃粘膜下腫瘍との鑑別を要した膵リンパ上皮嚢胞の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.70.199 |