プライマリケア薬剤師によるヘルスプロモーション 葉酸摂取における認知度調査と能動的情報提供の効果
「緒言」葉酸は体内におけるプリン・ピリミジン代謝やアミノ酸代謝, また蛋白質合成などに関与しており, 細胞の分裂や機能を正常に保つために重要な役割を果たしている. そのため妊婦において葉酸が不足すると, 出産児に二分脊椎や無脳症といった神経管閉鎖障害の発症リスクが増大することが報告されている1,2). ただし, このリスクは受胎前後に十分な葉酸を摂取することによって低減できることが多くの疫学研究により実証されている3-8). このため, 1992年に米国や英国で, 引き続きオランダ, ニュージーランド, 中国, カナダ, オーストラリアなどでも国の健康政策として妊娠可能な女性に葉酸摂取を推進す...
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Published in | 医療薬学 Vol. 36; no. 8; pp. 533 - 541 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2010
日本医療薬学会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1346-342X 1882-1499 |
DOI | 10.5649/jjphcs.36.533 |
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Summary: | 「緒言」葉酸は体内におけるプリン・ピリミジン代謝やアミノ酸代謝, また蛋白質合成などに関与しており, 細胞の分裂や機能を正常に保つために重要な役割を果たしている. そのため妊婦において葉酸が不足すると, 出産児に二分脊椎や無脳症といった神経管閉鎖障害の発症リスクが増大することが報告されている1,2). ただし, このリスクは受胎前後に十分な葉酸を摂取することによって低減できることが多くの疫学研究により実証されている3-8). このため, 1992年に米国や英国で, 引き続きオランダ, ニュージーランド, 中国, カナダ, オーストラリアなどでも国の健康政策として妊娠可能な女性に葉酸摂取を推進する方針がとられた9). さらに米国では1998年, また2009年にはオーストラリアで, 小麦などの穀物製品類へ葉酸を添加することが義務付けられるようになった. こうした国を挙げての広報活動が功を奏して, 米国における神経管閉鎖障害の発症率はここ10年で約30%減少した10). |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.36.533 |