インフリキシマブ投与中に抗ミトコンドリアM2抗体陽性の肝障害が出現した尋常性乾癬の1例
症例は51歳男性.30年来の尋常性乾癬に対し9カ月前よりインフリキシマブ投与を受けていたが,全身倦怠感と胆道系酵素優位の肝機能障害が出現した.HBs抗原・HCV抗体は陰性で抗ミトコンドリア抗体・抗M2抗体高力価,IgM高値であった.インフリキシマブ投与を中止したが遷延するためウルソデオキシコール酸およびベザフィブラートを投与し肝機能は正常化した.5カ月後の肝生検組織では原発性胆汁性肝硬変(PBC)を積極的に示唆する所見を認めなかった.英国ではPBCの13%に尋常性乾癬の合併が報告されているが我が国での頻度は不明である.またインフリキシマブの投与増加に伴い海外ではInfliximab-relat...
Saved in:
Published in | 肝臓 Vol. 56; no. 12; pp. 655 - 660 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2015
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.56.655 |
Cover
Summary: | 症例は51歳男性.30年来の尋常性乾癬に対し9カ月前よりインフリキシマブ投与を受けていたが,全身倦怠感と胆道系酵素優位の肝機能障害が出現した.HBs抗原・HCV抗体は陰性で抗ミトコンドリア抗体・抗M2抗体高力価,IgM高値であった.インフリキシマブ投与を中止したが遷延するためウルソデオキシコール酸およびベザフィブラートを投与し肝機能は正常化した.5カ月後の肝生検組織では原発性胆汁性肝硬変(PBC)を積極的に示唆する所見を認めなかった.英国ではPBCの13%に尋常性乾癬の合併が報告されているが我が国での頻度は不明である.またインフリキシマブの投与増加に伴い海外ではInfliximab-related hepatitisが報告されているが抗核抗体陽性の自己免疫性肝炎様症例が多い.本例はインフリキシマブ投与前の自己抗体は不明であるが興味深い症例と考え報告する. |
---|---|
ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.56.655 |