犬毛包におけるメラニン輸送メカニズムの形態学的検討;健常犬とColor dilution alopecia罹患犬の比較
メラノサイトは樹状突起を経由し,周囲ケラチノサイトにメラノソームを供給するが,犬でそのメカニズムを検討した報告がない。そこで,健常犬とメラニン輸送機能異常が推測されているColor dilution alopecia(CDA)を比較し,犬毛包におけるメラニン輸送の形態学的検討を行った。健常犬毛母部では,メラノサイトの樹状突起が細胞間に伸展し,ケラチノサイト内へ挿入されていたが,細胞膜の融合像は確認できなかった。一方CDAの毛包において,成熟メラノソームを有したメラノサイトは惰円形で樹状突起に乏しく,周囲ケラチノサイト内にメラノソームは認められなかった。また表皮において細胞間に遊離したメラノソー...
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Published in | 獣医臨床皮膚科 Vol. 13; no. 3; pp. 141 - 147 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本獣医皮膚科学会
2007
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Subjects | |
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Summary: | メラノサイトは樹状突起を経由し,周囲ケラチノサイトにメラノソームを供給するが,犬でそのメカニズムを検討した報告がない。そこで,健常犬とメラニン輸送機能異常が推測されているColor dilution alopecia(CDA)を比較し,犬毛包におけるメラニン輸送の形態学的検討を行った。健常犬毛母部では,メラノサイトの樹状突起が細胞間に伸展し,ケラチノサイト内へ挿入されていたが,細胞膜の融合像は確認できなかった。一方CDAの毛包において,成熟メラノソームを有したメラノサイトは惰円形で樹状突起に乏しく,周囲ケラチノサイト内にメラノソームは認められなかった。また表皮において細胞間に遊離したメラノソームがみられ,ごく僅かながらメラノソームが単独でケラチノサイト内に取り込まれていた。以上より,犬毛包のメラニン輸送は主に樹状突起のcytophagocytosis経路によって行われ,表皮においてはexocytosis経路も関与することが推察された。 |
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ISSN: | 1347-6416 1881-2236 |
DOI: | 10.2736/jjvd.13.141 |