Endoscopic components separation法で修復した妊娠後発症白線ヘルニアの1例

白線ヘルニアは白線と呼ばれる腹壁正中の腱膜線維の隙間に生じるヘルニアで,本邦では比較的稀な疾患である.今回,妊娠を契機に発症した白線ヘルニアに対し,endoscopic components separation(ECS)法で修復した1例を経験したので報告する.症例は27歳,女性.手術歴はなく,両側卵巣嚢腫と診断され経過観察となっていた.第2子を妊娠中に臍周囲の疼痛を自覚していた.出産後も妊娠中と同様の疼痛を自覚し,下腹部正中の膨隆も認めるようになった.救急外来を受診し,腹部CTにて白線ヘルニア(16.9×5.9cm)と診断され,翌月にECS法で修復した.併せて,両側卵巣嚢腫に対して腹腔鏡下卵...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 11; pp. 2364 - 2369
Main Authors 海野, 倫明, 内藤, 剛, 田中, 直樹, 青木, 豪, 伊勢, 一郎, 武者, 宏昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2018
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.79.2364

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Summary:白線ヘルニアは白線と呼ばれる腹壁正中の腱膜線維の隙間に生じるヘルニアで,本邦では比較的稀な疾患である.今回,妊娠を契機に発症した白線ヘルニアに対し,endoscopic components separation(ECS)法で修復した1例を経験したので報告する.症例は27歳,女性.手術歴はなく,両側卵巣嚢腫と診断され経過観察となっていた.第2子を妊娠中に臍周囲の疼痛を自覚していた.出産後も妊娠中と同様の疼痛を自覚し,下腹部正中の膨隆も認めるようになった.救急外来を受診し,腹部CTにて白線ヘルニア(16.9×5.9cm)と診断され,翌月にECS法で修復した.併せて,両側卵巣嚢腫に対して腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術を行った.ECS法はメッシュを要さず,open components separation (CS)法と比べ整容性に優れ,若年患者に有用な術式と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.79.2364