脾破裂を伴い急性肝不全様の経過を呈した悪性リンパ腫の一例
症例は66歳,男性.全身倦怠感,発熱,腹痛,食思不振で近医を受診し,血小板減少,肝腎機能障害を認め,当院へ緊急入院となった.腹部超音波検査,CT検査で著明な肝脾腫と脾内占拠性病変,脾出血を認めた.急速に肝不全が進行,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)も合併し,全身状態は増悪した.第3病日には腹腔内出血を来し,第5病日に死亡した.家族の同意を得て,剖検を行った.肝腫大,著明な脾腫大を認め,脾臓は被膜の破綻,出血を伴い脾破裂をきたしていた.肝臓,脾臓には腫瘍細胞がびまん性に増殖しており,免疫染色にて悪性リンパ腫(diffu...
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Published in | 肝臓 Vol. 57; no. 12; pp. 674 - 683 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.57.674 |
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Summary: | 症例は66歳,男性.全身倦怠感,発熱,腹痛,食思不振で近医を受診し,血小板減少,肝腎機能障害を認め,当院へ緊急入院となった.腹部超音波検査,CT検査で著明な肝脾腫と脾内占拠性病変,脾出血を認めた.急速に肝不全が進行,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)も合併し,全身状態は増悪した.第3病日には腹腔内出血を来し,第5病日に死亡した.家族の同意を得て,剖検を行った.肝腫大,著明な脾腫大を認め,脾臓は被膜の破綻,出血を伴い脾破裂をきたしていた.肝臓,脾臓には腫瘍細胞がびまん性に増殖しており,免疫染色にて悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)と診断した.今回,我々は脾破裂を伴い急性肝不全様の急激な経過を呈した悪性リンパ腫の一例を経験したので文献的考察を含めて報告する. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.57.674 |