開腹止血術にて救命し得た正中仙骨動脈出血の1例

Transcatheter arterial embolization(経カテーテル的動脈塞栓術:以下,TAE)にて止血困難であり,開腹手術にて救命し得た骨盤部出血の症例を経験した。症例は70歳,男性。歩行中に交通事故にて,当院へ搬送された。意識レベルはGlasgow Coma Scale(GCS)E1V3M5で,バイタル・サインは安定していた。両肺挫傷・血胸,右脛骨骨折,びまん性軸索損傷の診断にて,ICU管理となった。翌日,貧血が進行(Hb12.9g/dL→7.7g/dL)するため,腹部CT検査を施行したところ,仙骨前面より造影剤の血管外漏出と後腹膜血腫を認めた。緊急血管撮影検査を施行し,内...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 30; no. 4; pp. 587 - 590
Main Authors 西山, 亮, 丸山, 尚嗣, 七條, 祐治, 夏目, 俊之, 羽成, 直行, 渡辺, 義二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2010
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Summary:Transcatheter arterial embolization(経カテーテル的動脈塞栓術:以下,TAE)にて止血困難であり,開腹手術にて救命し得た骨盤部出血の症例を経験した。症例は70歳,男性。歩行中に交通事故にて,当院へ搬送された。意識レベルはGlasgow Coma Scale(GCS)E1V3M5で,バイタル・サインは安定していた。両肺挫傷・血胸,右脛骨骨折,びまん性軸索損傷の診断にて,ICU管理となった。翌日,貧血が進行(Hb12.9g/dL→7.7g/dL)するため,腹部CT検査を施行したところ,仙骨前面より造影剤の血管外漏出と後腹膜血腫を認めた。緊急血管撮影検査を施行し,内腸骨動脈領域からの出血はTAEにて止血し得たが,正中仙骨動脈からの出血は止血困難であった。そこで開腹手術を施行したが,仙骨前方骨棘の剥離骨折による正中仙骨動脈損傷を認めた。そのため同動脈を結紮止血後,ガーゼパッキングにて対処した。著明な後腹膜血腫のため閉腹困難と判断し,サイロ状閉鎖(silo closure)とした。第4病術日,ガーゼを除去し閉腹した。その後の術後経過は良好であった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.30.587