広範囲結腸壊死を認めた壊死型虚血性大腸炎の1例

症例は,狭心症や高血圧の既往がある81歳,女性。5月中旬夕方より,左下腹部痛,嘔気を認めた。翌日,腹膜刺激症状を認めたため当院へ紹介入院となった。腹部全体の疼痛を訴え,左下腹部に筋性防御を認めた。血液検査所見でCRPの上昇と,血液ガス所見でアシドーシスを認めた。腹部造影CT検査で,下行結腸に壁肥厚と粘膜下浮腫があり,周囲に脂肪織の濃度上昇と腹水,腹膜肥厚を伴っていた。また,腸管の一部は造影効果が不良だった。以上より虚血性大腸炎,腸管壊死疑いにて,緊急開腹手術を施行した。盲腸からS状結腸までの粘膜が壊死しており,結腸亜全摘+回腸人工肛門造設術を施行した。壊死型虚血性大腸炎の中でも全結腸型はまれで...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 30; no. 7; pp. 961 - 963
Main Authors 田上, 貴之, 木戸川, 秀生, 山吉, 隆友, 伊藤, 重彦, 鬼塚, 幸治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2010
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.30.961

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Summary:症例は,狭心症や高血圧の既往がある81歳,女性。5月中旬夕方より,左下腹部痛,嘔気を認めた。翌日,腹膜刺激症状を認めたため当院へ紹介入院となった。腹部全体の疼痛を訴え,左下腹部に筋性防御を認めた。血液検査所見でCRPの上昇と,血液ガス所見でアシドーシスを認めた。腹部造影CT検査で,下行結腸に壁肥厚と粘膜下浮腫があり,周囲に脂肪織の濃度上昇と腹水,腹膜肥厚を伴っていた。また,腸管の一部は造影効果が不良だった。以上より虚血性大腸炎,腸管壊死疑いにて,緊急開腹手術を施行した。盲腸からS状結腸までの粘膜が壊死しており,結腸亜全摘+回腸人工肛門造設術を施行した。壊死型虚血性大腸炎の中でも全結腸型はまれであり,致死率も高く,予後不良な疾患である。特に,早期診断と壊死腸管の確実な切除が重要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.30.961