術後急性増悪した間質性肺炎に集学的治療が奏効したCPFE合併肺癌の1例

80歳,男性.気腫合併肺線維症(CPFE)に併発した左上葉肺癌に対して左肺上葉切除術を施行した.非癌部位の肺は,通常型間質性肺炎像を示していた.術後11日目にPaO2/FiO2(P/F)比が67まで低下し,胸部CTにて右葉中心にすりガラス陰影が出現した.間質性肺炎の急性増悪による呼吸不全と判断し,ステロイド大量療法を開始したが,改善なく,術後13日目にポリミキシンB固定化繊維カラムを用いた直接血液灌流法(PMX-DHP)とリコンビナント・トロンボモジュリン製剤(rTM)の使用を開始した.一時は人工呼吸管理を要したが,48時間のPMX-DHP終了時にはP/F比は135まで改善した.2度目のステロ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 10; pp. 2404 - 2411
Main Authors 藤村, 龍太, 福田, 泰也, 児玉, 良典, 高見, 康二, 倭, 成史, 大宮, 英泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.2404

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Summary:80歳,男性.気腫合併肺線維症(CPFE)に併発した左上葉肺癌に対して左肺上葉切除術を施行した.非癌部位の肺は,通常型間質性肺炎像を示していた.術後11日目にPaO2/FiO2(P/F)比が67まで低下し,胸部CTにて右葉中心にすりガラス陰影が出現した.間質性肺炎の急性増悪による呼吸不全と判断し,ステロイド大量療法を開始したが,改善なく,術後13日目にポリミキシンB固定化繊維カラムを用いた直接血液灌流法(PMX-DHP)とリコンビナント・トロンボモジュリン製剤(rTM)の使用を開始した.一時は人工呼吸管理を要したが,48時間のPMX-DHP終了時にはP/F比は135まで改善した.2度目のステロイド大量療法を経て,術後20日目にはP/F比は238まで回復し,その後再増悪を認めていない.集学的治療により呼吸状態が改善したCPFE合併肺癌術後の間質性肺炎急性増悪の1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.2404