穿孔性腹膜炎を合併した盲腸軸捻転症の1例

症例は51歳,男性.主訴は腹痛にて当院救命救急センターを受診した.腹部単純レントゲンにてfree airを認め穿孔性腹膜炎と診断され当科に紹介された.腹部CT検査にてfree air,小腸および大腸の著明な拡張像,大量腹水を認めた.また来院時脈拍180/分,呼吸数36/分,体温38.3℃とSIRS状態であり,緊急手術施行となった.術中所見では十二指腸球部にピンホール状の穿孔と約1,500mlの膿性腹水を認め,さらに盲腸を中心に同部が時計回りに360度回転した上に拡張しており,盲腸軸捻転症と診断した.術式は大網充填術および捻転部を解除し,盲腸固定術を施行した.術後ARDSおよびDICを併発したが...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 3; pp. 727 - 731
Main Authors 田中, 千弘, 加藤, 浩樹, 河合, 雅彦, 國枝, 克行, 松橋, 延壽, 長尾, 成敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.727

Cover

More Information
Summary:症例は51歳,男性.主訴は腹痛にて当院救命救急センターを受診した.腹部単純レントゲンにてfree airを認め穿孔性腹膜炎と診断され当科に紹介された.腹部CT検査にてfree air,小腸および大腸の著明な拡張像,大量腹水を認めた.また来院時脈拍180/分,呼吸数36/分,体温38.3℃とSIRS状態であり,緊急手術施行となった.術中所見では十二指腸球部にピンホール状の穿孔と約1,500mlの膿性腹水を認め,さらに盲腸を中心に同部が時計回りに360度回転した上に拡張しており,盲腸軸捻転症と診断した.術式は大網充填術および捻転部を解除し,盲腸固定術を施行した.術後ARDSおよびDICを併発したが,集中治療管理を行い,術後40日目に退院した.結語:穿孔性腹膜炎(十二指腸穿孔)に合併した盲腸軸捻転症は極めて稀であり,また術前診断にMDCTが有用であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.727