妊婦を対象としたフットケアの検討と効果の検証

目 的  妊婦に対する安全かつ効果的なフットケアの方法を導き出し,その実施を試みフットケアの効果を母体の心理的,生理的側面から検証する。 対象と方法  対象は妊娠経過が正常である妊娠32週から37週までの妊婦11人とした。検討したフットケアの内容は,温罨法をした後に膝から下にかけて末梢から中枢に行う,痛みを伴わないマッサージによるフットケアである。フットケアに要する時間は25分程度とし,フットケア実施前後に脈拍,血圧,ふくらはぎ周囲径,皮膚温度,皮膚血流,脳波を測定した。また,実施前後と翌日に質問紙による足の自覚症状と気分の評価を行った。さらに,分娩監視装置を用いて,フットケアの母体,胎児への...

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Published in日本助産学会誌 Vol. 23; no. 2; pp. 171 - 181
Main Authors 赤羽, 洋子, 清水, 嘉子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本助産学会 2009
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Summary:目 的  妊婦に対する安全かつ効果的なフットケアの方法を導き出し,その実施を試みフットケアの効果を母体の心理的,生理的側面から検証する。 対象と方法  対象は妊娠経過が正常である妊娠32週から37週までの妊婦11人とした。検討したフットケアの内容は,温罨法をした後に膝から下にかけて末梢から中枢に行う,痛みを伴わないマッサージによるフットケアである。フットケアに要する時間は25分程度とし,フットケア実施前後に脈拍,血圧,ふくらはぎ周囲径,皮膚温度,皮膚血流,脳波を測定した。また,実施前後と翌日に質問紙による足の自覚症状と気分の評価を行った。さらに,分娩監視装置を用いて,フットケアの母体,胎児への安全性を確保した。得られたデータは統計処理を行い,前後の値を比較した。 結 果  フットケア実施により,以下の内容に変化が認められた。1)足では,自覚する冷え,むくみ,だるさが改善し,その効果は翌日まで持続していた。また,ふくらはぎ周囲径が縮小した。2)気分では,爽快感が高まり,翌日まで持続傾向にあった。妊婦からリラックスの言葉が聞かれ,脈拍が低下した。3)温罨法によって,皮膚温度と皮膚血流が増加し,加温が循環促進に有効であったが,持続性については認められなかった。4)妊婦に眠気が出現し,脳波ではα3が最も高値となり,入眠作用があることが示唆された。5)フットケア実施による子宮収縮の増強や胎児への影響は認められなかった。 結 論  本研究で検討したフットケアは,子宮収縮や胎児への影響はなく,正常な妊娠経過の妊婦へのケアの安全性が確保され,心理的,生理的なリラックスと共に爽快感を高め,足の自覚症状の改善に効果があった。
ISSN:0917-6357
1882-4307
DOI:10.3418/jjam.23.171