妊婦由来B群レンサ球菌の血清型と抗体保有状況

1992年6月から2001年5月までに聖マリアンナ医科大学病院産科外来を受診した妊婦1, 404名, 2,622検体からGroup B streptococcus: GBSを分離・同定し血清型別を行った. GBS 187株が分離され, 血清型はVIII (JM-9) 型59株 (31.6%), VI (NT-6) 型46株 (24.6%), III型19株 (10.2%), Ia型16株 (8.6%), V型16株 (8.6%), Ib型12株 (6.4%), II型3株 (1.6%) の順に多くみられた. 菌が分離された54名に対して, 血清抗体価を細菌凝集法で測定したところ, 陰性が23例...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 77; no. 3; pp. 121 - 126
Main Authors 寺久保, 繁美, 一幡, 良利, 竹村, 弘, 山本, 啓之, 嶋田, 甚五郎, 中島, 秀喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.03.2003
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Summary:1992年6月から2001年5月までに聖マリアンナ医科大学病院産科外来を受診した妊婦1, 404名, 2,622検体からGroup B streptococcus: GBSを分離・同定し血清型別を行った. GBS 187株が分離され, 血清型はVIII (JM-9) 型59株 (31.6%), VI (NT-6) 型46株 (24.6%), III型19株 (10.2%), Ia型16株 (8.6%), V型16株 (8.6%), Ib型12株 (6.4%), II型3株 (1.6%) の順に多くみられた. 菌が分離された54名に対して, 血清抗体価を細菌凝集法で測定したところ, 陰性が23例 (42.6%), 2倍で凝集が7例 (13.0%), 4倍で凝集が10例 (18.5%), 8倍以上で凝集が14例 (25.9%) であった. 保菌妊婦のうち50%以上の人は, 抗体価が低いと考えられた. また, 血清型の違いによって, 抗体価に大きな差は認められなかったが, 型別不能株が分離された例では比較的高い抗体価を示した. 母親の産道におけるGBSの定着や血清抗体価が, 新生児に発症する髄膜炎や敗血症などの重症感染症と明らかに相関が認められていることから, その予防法を確立する上で, 妊婦のGBS保菌状況と抗体価のスクリーニングは重要だと考えられる.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.77.121