G-CSF産生腸間膜未分化多型肉腫の1例

症例は57歳,女性.右下腹部痛および高炎症反応を認めた.CTで消化管腫瘍,腹膜転移,微小穿孔が疑われた.抗菌薬開始後も発熱が持続し,白血球数は20,000/μlを超えた.腫瘍摘出術で小腸腸間膜由来の腫瘍は穿孔し膿瘍を形成していた.組織学的に腫瘍は多形性に富んだ異型細胞が不規則に増殖し,部分的に紡錘状形態を示すstriform patternを呈していた.また,腫瘍細胞内へのリンパ球,好中球の取り込み像も観察された.免疫特殊染色ではvimentinが強陽性を示し,さらに,G-CSFおよび同受容体が腫瘍細胞の細胞質に染色性を示した.以上より,腸間膜由来のG-CSF産生未分化多形肉腫(undiffe...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 10; pp. 1859 - 1864
Main Authors 根本, 洋, 松本, 光司, 森, 貴志, 針金, 幸平, 宮前, 拓, 萩原, 英之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は57歳,女性.右下腹部痛および高炎症反応を認めた.CTで消化管腫瘍,腹膜転移,微小穿孔が疑われた.抗菌薬開始後も発熱が持続し,白血球数は20,000/μlを超えた.腫瘍摘出術で小腸腸間膜由来の腫瘍は穿孔し膿瘍を形成していた.組織学的に腫瘍は多形性に富んだ異型細胞が不規則に増殖し,部分的に紡錘状形態を示すstriform patternを呈していた.また,腫瘍細胞内へのリンパ球,好中球の取り込み像も観察された.免疫特殊染色ではvimentinが強陽性を示し,さらに,G-CSFおよび同受容体が腫瘍細胞の細胞質に染色性を示した.以上より,腸間膜由来のG-CSF産生未分化多形肉腫(undifferentiated pleomorphic sarcoma:以後,UPS)と診断した.急速に病状は悪化し術後第83病日に死去した.UPSは,かつての悪性線維性組織球症の一亜型である.G-CSFは腫瘍の増殖因子と考えられており,さらに受容体陽性例ではautocrine loopの可能性もある.本例は腸間膜由来で,かつG-CSF産生能を有している非常に稀なUPSと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1859