1982年から1991年に剖検された深在性カンジダ症についての検討

カンジダは口腔, 皮膚, 腸管や腟などのフローラを形成し, 日和見感染菌としても知られ, 広域性抗菌剤の普及と共にカンジダ症は年次的増加を示している.対象は1982~1991年間に剖検された深在性カンジダ症と診断された95例 (男子48, 女子47) である.深在性カンジダ症の年次的推移を見ると1985~1988年にピークがあり, これ以後は減少を示した.基礎疾患としては白血病が最も多く36例 (37.9%) を占め, 続いて悪性リンパ腫10例 (11.5%), 再生不良性貧血5例 (5.2%) であった.感染臓器では, 胃が最も多く42例 (44.2%), 続いて, 食道33例 (34。7%...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 68; no. 7; pp. 879 - 886
Main Authors 木村, 雅友, 鈴木, 庸之, 古田, 格, 大場, 康寛, 尾鼻, 康朗, 山住, 俊晃, 橋本, 重夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.07.1994
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.879

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Summary:カンジダは口腔, 皮膚, 腸管や腟などのフローラを形成し, 日和見感染菌としても知られ, 広域性抗菌剤の普及と共にカンジダ症は年次的増加を示している.対象は1982~1991年間に剖検された深在性カンジダ症と診断された95例 (男子48, 女子47) である.深在性カンジダ症の年次的推移を見ると1985~1988年にピークがあり, これ以後は減少を示した.基礎疾患としては白血病が最も多く36例 (37.9%) を占め, 続いて悪性リンパ腫10例 (11.5%), 再生不良性貧血5例 (5.2%) であった.感染臓器では, 胃が最も多く42例 (44.2%), 続いて, 食道33例 (34。7%), 肺と腎臓となった.検査所見では好中球, リンパ球, 血小板, 血色素, 総蛋白, コレステロールなどは低値を, CRP, LDH, 尿素窒素, クレアチニ, 総ビリルビンなどは高値を示した.著しい好中球の減少がある症例ではカンジダ感染臓器での炎症性細胞の浸潤は認められなかった.播種性カンジダ症とされた症例では血管侵襲像が見られた.穎粒球減少症や免疫不全が存在する場合は, カンジダの組織侵襲が強くなり, 血管侵襲をきたし, 血行性播種性感染を起こす.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.879