散剤包装の開封性評価 高齢者に必要な条件の検討
「緒言」Nikolausらの研究では, 視力, 認知能力の低下がノンコンプライアンスの独立要因となることを示すとともに, 医薬品包装の開封性が服薬コンプライアンスの低下と関連していると報告している1). 2007年, 彦田らは手指機能障害患者(主に脳血管障害患者麻痺残存例)において, 散剤医薬品包装の開封性は開封強度と相関性があることを報告した2). 一方, 高齢者は, 手指機能障害をきたす疾患がなくとも, 加齢に伴う視力や手指の握力・巧緻性, 認識機能等の各種機能・能力の低下により, 適切な医薬品包装開封が困難になることが多いとの報告もなされている3-6). 現在の医薬品包装に関する規制とし...
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Published in | 医療薬学 Vol. 37; no. 3; pp. 165 - 172 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本医療薬学会
2011
日本医療薬学会 |
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Summary: | 「緒言」Nikolausらの研究では, 視力, 認知能力の低下がノンコンプライアンスの独立要因となることを示すとともに, 医薬品包装の開封性が服薬コンプライアンスの低下と関連していると報告している1). 2007年, 彦田らは手指機能障害患者(主に脳血管障害患者麻痺残存例)において, 散剤医薬品包装の開封性は開封強度と相関性があることを報告した2). 一方, 高齢者は, 手指機能障害をきたす疾患がなくとも, 加齢に伴う視力や手指の握力・巧緻性, 認識機能等の各種機能・能力の低下により, 適切な医薬品包装開封が困難になることが多いとの報告もなされている3-6). 現在の医薬品包装に関する規制としては, 日本薬局方(容器の種類, プラスチック製医薬品容器試験, 注射剤用ガラス容器試験, 輸液用ゴム栓試験), 薬事法(包装の種類, 封, 包装への表示事項等(包装についての項は少ない)), 製造承認申請(品質を有効期間内で保証できる包装形態, 使用材料の記載, その包装形態での安定性試験データの添付等)等がある7)が, これらは, 内容医薬品の安定性, 有効性, 安全性に念頭がおかれたもので, 開封性, 取り出し性等の使用性に関する規制はなく, 各製薬会社においては各社各様で行われているのが現状である8). |
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ISSN: | 1346-342X 1882-1499 |
DOI: | 10.5649/jjphcs.37.165 |